総合型選抜とは?一般選抜や学校推薦型選抜とは何が違うのか?

目次
1 総合型選抜とはどのような入試か
総合型選抜は、大学ごとに設定されるアドミッション・ポリシーに基づき、受験生の学力だけでなく、人柄や意欲、将来性を総合的に評価する入試制度です。
学科試験の点数に加えて、エントリーシートや小論文、面接、さらにプレゼンテーションなどを通じて受験生の個性や能力を多面的に判断します。
従来のAO入試が2021年度入試から総合型選抜に移行したことで、単に人物評価を重視するだけでなく、学力も含めた総合的な評価が行われるようになりました。
これにより、高い学習意欲や主体的な行動力を持つ受験生がより適切に評価される仕組みが整っています。

また、総合型選抜が注目されている背景には、社会のグローバル化や多様化が進んでいることも関係しています。
これからの社会では、自ら考え行動する力、さらには他者と協働して問題解決に取り組む力がより必要とされています。そのため、多様な経験や目標を持つ学生が、それぞれの個性を自覚し、表現できることが重視されているのです。
大学側は、こうした時代の変化に対応し、さまざまなバックグラウンドを持つ学生を迎え入れることで、社会で活躍できる人材を育成することを目指しています。
そのため、総合型選抜を通して、受験生の個性やポテンシャルを最大限に引き出し、それを評価する体制が重要視されているのです。
2 総合型選抜と他の入試方法との違い
総合型選抜は、他の入試方法と比べて受験生の多様な側面を評価する点が大きな特徴です。以下では、他の入試方法との違いを解説いたします。
【1】 総合型選抜と一般選抜の違い
一般選抜は、大学や学部によって試験形式に若干の違いがあるものの、主に学科試験が評価の中心となる方法です。一部の大学では面接や口頭試験が課される場合もありますが、多くの場合は学力試験の成績が合否を大きく左右します。
そのため、一般選抜では試験対策を中心に学力を高めることが重要です。
一方、総合型選抜は、学力の評価に加え、多角的な視点から受験生を評価する入試方法です。
志望理由書や調査書、小論文、共通テストなどを活用しながら面接を通じて受験生の意欲や適性を評価します。
特に、具体的な実績や志望理由、過去の経験、そして自己表現の力が問われるため、自分自身を多面的にアピールする能力が必要です。
学力のみならず、これまでの取り組みや考え方が評価されるため、受験生は自分の強みを明確にし、それを効果的に伝える準備をする必要があります。
総合型選抜と一般選抜の違いについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。

【2】 総合型選抜と推薦型選抜の違い
推薦型選抜はその名の通り、高校側からの推薦を必要とすることが大きな特徴です。
この選抜は「指定校制」と「公募制」の2種類が存在しますが、どちらも学校長の推薦書類が必要である点は共通しています。
また、推薦を得るためには、学校が定める評定平均や資格、学校外活動の成果などの条件を満たす必要があるため、出願のハードルが高い側面があります。
選考方法は総合型選抜と同様に小論文や面接が課される場合が多いですが、大学によって評価基準や詳細が異なるため、必ず入試要項を確認することが求められます。
【3】 AO入試から総合型選抜への変化
AO入試(アドミッションズ・オフィス入試)は「どのような学生に入学してほしいか」という大学のアドミッション・ポリシーに基づき、学力以外の能力や資質を重視する選抜方式として導入されました。
しかし、多くの大学で採用が進む中で、一部では「学力を問われない入試」といった誤解や実態が問題視されるケースもありました。
このような背景の中で、学力も含めた総合的な評価基準を取り入れる形で生まれたのが総合型選抜です。
3 総合型選抜のメリット
総合型選抜は有名国立大学でも採用されるなど、徐々に増えてきております。
以下では総合型選抜で受験するメリットを紹介します。
【1】 受験の選択肢が広がる
総合型選抜は、大学受験において学力試験のみを評価基準とするのではなく、受験生自身の意欲や素質、大学との適合性などを総合的に判断する方式です。
この方法を活用することで、偏差値や得意・不得意科目にとらわれることなく、幅広い受験校の選択が可能となります。
このため、場合によっては一般選抜では入学が難しいと思われる大学への合格を実現するチャンスも広がります。
例えば、高校時代に取得した資格や、部活動やボランティアなどで得た成果や経験が評価されることもあり、学力試験に自信がない場合でも、他の強みを活かして挑戦することができます。
【2】 学力以外も評価される
総合型選抜では、学力以外の要素にも重きを置き、エントリーシートや小論文、面接を通じて受験生を多面的に評価します。
具体的には、受験生の意欲や情熱、これまでの経験、社会貢献活動などが評価の対象となります。学力だけでは測れない個性や強みを発揮する場となり、自分自身を深く理解し、的確にアピールすることが求められます。
また、過去の様々な活動や経験が選考においてプラスに働くケースも多くあります。
例えば、部活動で培ったリーダーシップや地域活動での積極性が高く評価される可能性があります。
そのため、特に個性や実績を活かしたい人にとって、総合型選抜は魅力的な選択肢です。
【3】 自分を深く理解する機会となる
総合型選抜は、受験生にとって自分自身を深く見つめ直し、理解を深める貴重な機会となります。
自身の志望理由や将来のビジョンについて具体的に考える過程を経ることで、自分が大学で何を学びたいのか、または卒業後にどのような進路を歩みたいのかを明確にするきっかけとなるでしょう。
4 総合型選抜のデメリット
メリットもありますが、総合型選抜を受験するのであればデメリットも理解しておきましょう。
【1】 一般選抜に比べ選考基準が分かりにくい
面接や小論文が得意でない学生には不安要因になることがあります。
また、一般選抜と比べてどのような基準で選考されるのか分かりにくく、準備が不足している場合はリスクが高まります。
総合型選抜の対策方法としては、アピールポイントや自身の特性を明確にすることがカギになります。
そして自身の特性に合った大学を選び、その選考基準に合わせて準備を行うことが重要です。
このように、総合型選抜には多くの利点がある一方で、注意すべき点も多く、受験生は自身の特性やアピール方法について真剣に考え、早めに準備を進めることが必要です。
5 総合型選抜のスケジュール
総合型選抜のスケジュールは、大学や学部によって異なりますが、一般的にはエントリーから合格発表まで約半年の期間が設けられています。
まず、エントリーは通常6月ごろから始まり、これは「この大学の総合型選抜を受けたい」という意思表示をするものです。エントリーが無いと出願が認められない大学もあるので、志望する大学の総合型選抜のスケジュールは必ず確認しましょう。
エントリーの内容は、エントリーシートの提出や事前面談を行うなど大学によって異なります。
出願自体は9月1日以降、合格発表は11月1日以降となっており、大学によっては年末や年始に試験を実施されることもあります。
そのため、基本的には6月のエントリーから11月の合否までの期間が受験期間となりますので、一般入試と比べると長い期間での受験となります。
この期間中は一般選抜に向けた準備も行う必要があり、スケジュール管理はかなり大事になるでしょう。自分が志望する大学の総合型選抜のスケジュールは必ず把握しておく必要があります。
また、エントリーの時期も考慮すると、自分がどの大学を受験したいのかも早めに決めておいた方が対策を練りやすくなるでしょう。
6 総合型選抜が向いている人
総合型選抜は、自分の特性や経験を活かせる人にとって非常に有利な入試形態といえます。
特に、自分の興味分野を深く掘り下げ、研究や探究活動を行ってきた人は大いに評価されるでしょう。大学が掲げるアドミッション・ポリシーに共感し、その方針に基づいて主体的に行動してきた経験がある場合、その姿勢や取り組みに高い評価が与えられることが期待されます。
さらに、高校時代に大会やコンクールで実績を残した経験がある人や、難易度の高い資格を取得している人も有利です。
こうした具体的な成果やスキルがあると、自己PRや面接時に説得力のあるエピソードとして活用しやすくなります。
また、小論文や面接などを苦手と感じず、自分の考えを的確に伝える能力を持っている人は、総合型選抜の試験において特に優位に立つことができるでしょう。
加えて、柔軟性や多様な視点を持った人も、この入試形式に向いているといえます。
学力のみならず、個性や背景、経験が重要視されるため、自分の価値観や経験を活かして独創的なアプローチを示すことが求められます。
7 総合型選抜は併願できるのか
総合型選抜や学校推薦型選抜では、専願制であることが多いです。
専願の場合、合格した際にはその大学への入学を確約する必要があり、他の大学を併願することができないことが一般的です。
ただし、併願を認めている大学もあります。併願することで選考の幅を広げ、リスクを分散させることが可能なため、積極的に利用するべきでしょう。
総合型選抜の併願については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
また、総合型選抜で不合格だった場合は、一般選抜で再挑戦することでさらに合格の確率を上げることができます。
総合型選抜、一般選抜の両方に備えておき、チャレンジできる機会は多くしておいたほうが良いでしょう。
一部の大学では、推薦型選抜や総合型選抜の出願機会を複数回設けているケースもあり、同じ大学の試験に再挑戦できることもあります。