みなさん、こんにちは。
日本の大学全部行った男、山内太地です。
「入学後にやりたいことが選べる大学に行きたい」
という質問をいただいています。
高校生の皆さんが大学の学部、志望校を選ぶ時に、例えば経済学部とか工学部みたいに決めなきゃいけない。
でも、それが嫌で、大学に入ってから色んな事を勉強する中で自分のやりたいことを決めたいというタイプの人もけっこう多いです。
そういう人から相談を受けまして。
例えば有名なのが、
東京のICU国際基督教大学。
ここは教養学部という大きい学部に入って、31の学問分野から自分が好きなものを選べる。
そういう学校です。
あるいは、慶應義塾大学の文学部のように、大きくは文学部で入学しておいて、
入ってから「私は歴史をやりたい」とか「文学をやりたい」みたいに後から選べる。
「そういう学校が好きだ」「そういうとこ行きたい」という人はけっこう多いんですよ。
幸いなことに「他にどこがあるの」と言うときには、今はそういう募集形態の大学は増えています。
例えば、国立でも北海道大学とか金沢大学とか岡山大学にまずは入っておいて、
入ってからいろんなことを学ぶ中で、自分はこれをやろうって決める。
筑波大学にもあります。
一番わかりやすいのは皆さんご存知、東大ですよ。
大きくは文科一類、二類とかで入っておいて、1年勉強してから行きたい学部を選ぶ。
若干の制限はありますけど。
このように入ってから選べるという学校はけっこうたくさんありますので、よく探してください。
特に文学部系では意外と大規模大学に多いですね。
その上で釘を刺します。
本当にあなたはそれでいいのですか。
入ってから選ぶというのは、実はちゃんと考えてない人なんじゃないかというのを僕は疑っています。
とりあえず、大学というのはテストの点数でいけばいいものだから「有名なあの学校に入っておこう」みたいに考えがちなんですね。
そしてこのリベラルアーツ系の大学には実は欠点があるんですよ、これは誰も言いません。
それは教養学、リベラルアーツというのは古代ギリシャや中世ヨーロッパの大学の伝統に
のっとっているので、新しい学問は含まれていない。
何でも学べるリベラルアーツ。
でも、大きくは文学理学の要素が非常に強いんですね。
特に人文系。
歴史とか哲学とか国際とかそういうことはしっかり出来るんですが、
例えば工学は一切ありません。農学も一切ありません。
これはなぜかというと古代ギリシャや中世ヨーロッパの大学は、金持ちしか行かないじゃないですか。
当時の世界を想像してください。
古代ギリシャや中世のヨーロッパ、工学や農学なんて農民とか奴隷とか貧しい人がなる仕事なんですよ。
自動車作ったりしたらしないじゃないですか、バイオテクノロジーもありません。
だからリベラルアーツというのは、実はエリートとの学問なんですね。
近代的、現代的、未来的な学問がすっぽ抜けているんですよ。
つまり、本当はそっちをやりたい人は普通に工学部や農学部に行くべきです。
あとは、社会科学もあまり充実していると言い難い。
例えば、経済、経営、商学、法律、政治といった部分を扱う学校もありますが、気をつけないといけないのは、やっぱりそういう分野の先生が圧倒的に足りないんです。
もう僕は実名を出しますけど、九州大学とかね。新潟大学とかに新しくできたリベラルアーツ系学部は先生がいっぱい集まっているんですけど、やっぱり教授のプロフィールを見ると文学と理学の人が多すぎる。
社会科学、経済、経営、法律あとは工学の先生というのが、すごく少ないんですね。
だからダメと言っているんじゃないですよ。
でも、何でもできるんじゃなくて、ぶっちゃけ中世ヨーロッパの金持ちが考える何でもできるなんです。
そこよりも新しい学問をやりたい場合は、ちゃんと学部を選びなおすべきです。
例えば「生態医工学やりたいとか」「コンピューターサイエンスやりたい」と言うんだったら、リベラルアーツ系へ行っちゃだめです。普通に工学部へ行くべきなんです。
つまり、なんでも学べる学部に行きたいと思っている時点で、実はある程度の領域を自ら切って捨てているんですよ。
だから、もう1回考え直して、いろんな学部がある中で幅広い教養をやりたいのか、
本当は自分が関心を持っていることは専門学部だったら、ここなんじゃないの。
例えば早稲田の国際教養学部に行きたいという人も「本当にやりたいことは政治経済なんじゃないの」とか「基幹理工学部なんじゃないの」というのを自分でちょっと立ち止まって考えてください。
その上で、古代ギリシャと中世ヨーロッパ的な教養の世界がいろいろある中で好きだと言うなら行くべきです。
そういうふうに考えた方がいいかなと思います。
なぜならば2つあって、
まず、リベラルアーツの大学アメリカに多いんですけど、
なんとびっくりヨーロッパではあまり聞かないですね、学問の本場なのに。
イギリスの大学はリベラルアーツはやりません。びっくりでしょ。
これは、イギリスはそんなものは高校で終わっていると考えるんです。
そして、大学では専門分野しかやりません。
だからイギリスの大学は3年しかありません。
日本と違うんですよ。
もう1個、日本の有名なほとんどの大学でそういったリベラルアーツ教育やっていないじゃないですか。
教養系の学部が少なくて。
結局、日本はドイツやイギリスの大学の形式に近いんですよ。
「大学って専門的なことだけやるんでしょ」というのが王道なんですね。
そこに、アメリカ的なリベラルアーツいいよねというのが混ざっている。
「あなたはどっちなの」というところで考えてほしいですね。
頑張ってください。
ありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。多くの受験生が、大学受験をする際に様々なことで悩みを抱えています。
メガスタ高校生では、受験生の悩みをLINE、電話でもご相談いただけます。
一人で悩まずに、大学受験のプロにお気軽にご相談ください。